複数の不動産を所有していると、どの物件が利益を生み出し、どの物件が負担となっているか、分からなくなっているというオーナー様も珍しくありません。
「先祖代々の土地だから」「なんとなく持ち続けているから」という理由で所有し続けると、その不動産が資産全体の収益性を押し下げてしまうリスクもあります。
そこで注目されているのが、不動産ポートフォリオの再編です。
収益性が落ちた物件を整理し、流動性の高い物件や成長エリアへ組み換えることで、資産全体の安定性と収益力を高めやすくなります。
この記事では、不動産ポートフォリオの再編が必要とされる背景を整理したうえで、資産組み換えの具体的なステップ、将来を見据えた戦略の立て方について、詳しく解説します。
なぜ今、不動産ポートフォリオの再編が必要なのか?

不動産は、一度購入すると数十年単位の長期保有になりやすい資産です。
しかし、その間に不動産業界を取り巻く市場環境や社会情勢は大きく変化します。
人口動態の変化やテレワークの普及、都市部と地方の需給バランスの変化などにより、かつて優良と評価された物件が、将来的には収益性や資産価値の低下につながるケースも少なくありません。
このような変化に対応し、不動産の資産価値を守るためには、定期的なポートフォリオの見直し=再編が重要です。
不動産ポートフォリオの再編とは、単なる売却や買い換えではなく、資産構成を戦略的に最適化し、収益性・安定性・流動性のバランスを高めるプロセスを指します。
インフレ対策と賃料上昇の見込み
物価が上昇するインフレ局面では、現金の価値が目減りする一方で、賃貸不動産は実物資産として一定の価値を維持しやすいという特徴があります。
賃料収入を通して、インフレの影響を収益として取り込める可能性は、現金や一部の金融商品にはない優位性です。
ただし、インフレ局面でもすべての地域・物件で賃料が上昇するわけではありません。
働き方の変化や人口流動性といった社会経済の変化によって、郊外の小型ワンルームでは需要が低下する一方で、立地の良い都心部や生活利便性の高いエリアでは賃料上昇や安定した需要が期待できる場合があります。
収益性を確実に確保するには、賃料上昇や需要が見込める物件を積極的にポートフォリオに組み込み、低収益物件や供給過多のエリアを整理することが重要です。
老朽化ビルによる維持コストの増大と震災リスク
築年数が進んだビルは、修繕・更新・設備の更改といった維持コストが年々増大しがちです。
エレベーターや空調といった設備更新コストに加え、耐震補強や省エネ改修の必要性も増すため、収益性を圧迫する要因になりかねません。
特に、地震リスクが高い日本では、耐震性や防災対応が不十分な物件は買い手がつきにくく、売却時の資産価値が大きく目減りするリスクが高まります。
耐用年数を超えた物件については金融機関の融資審査が厳しくなることが多く、出口戦略の選択肢が限定的になる可能性もあるでしょう。
このような物件に対しては、早い段階でコストやリスクを見える化し、十分なリターンが見込めない場合は組み換えを検討することが必要です。
効果的なポートフォリオ再編によって、維持コストを抑えつつ新たな収益機会に資金を振り向けることが可能になります。
有事の際の資産性(現金化)
不動産ポートフォリオの再編では、単に資産価値を上げるだけでなく、流動性も重視した組み換えがポイントになるでしょう。
不動産は一般的に流動性が低く、売りたいときにすぐに現金化できる資産ではありません。特に収益性が低く、空室率が高い物件や老朽化が進んだ物件は、売却に時間がかかるケースもあるでしょう。
有事の際に迅速に資金を確保するためには、流動性が高く、市場で需要が見込める物件をポートフォリオに残し、いざというときに使える手元資金を確保する戦略が必要です。
成功する資産組み換えの3ステップ

不動産ポートフォリオを再編する目的は、資産全体の収益性と安定性を高め、将来のリスクに強い構成へ整えることです。
しかし、不動産は売買コストが大きいため、意思決定を誤ると手残りが減ったり、想定より資金が動かせなくなることもあります。
失敗のリスクを抑えるには、現状の棚卸、慎重な売却判断、次の投資先の選定までのフローを順序立てて進めていくことが大切です。
続いては、資産組み換えを成功させる3つのステップを紹介します。
①所有物件の「格付け(収益性・流動性)」を行う
まずは、所有している不動産を数字で客観的に評価し、格付けを行います。
ここでは主観や愛着は切り離し、あくまでデータで判断することが重要です。
- 収益性:利回り、毎月の実質的な手残りなど
- 流動性:市場での需要の高さ、査定額など
特に注意したいのは、「利回りが高い=良い物件」とは限らない点です。
築古で空室が埋まりにくい物件は利回りが高く見えても、売却時に買い手がつかず、出口戦略が弱いケースがあります。
数字を根拠に格付けすることで、長期保有すべき物件と、早めに整理すべき物件が明確になるでしょう。
②低収益物件を売却し、キャッシュ化する
格付けの結果、優先度が低いと判断された物件は、保有し続けるほど維持コストが増え、出口戦略が難しくなる可能性があります。
例えば、設備更新が必要なタイミングを迎えると、一時的に数百万円から数千万円規模の支出が発生し、収益性が一気に悪化することもあるでしょう。
このような低収益物件は、できるだけ早めに売却して現金化し、次の投資やリスク分散に回せる資金を確保するのがおすすめです。
組み換えの際は、いくらで売れるかだけでなく、売却後に手元に残る資金まで考えて判断することが望ましいです。
③成長エリアや新築物件へ投資をシフトする
低収益物件の売却によって得た資金は、競争力の高い物件へ再投資し、利益の最大化を目指しましょう。
具体的には、再開発計画によって将来的な賃料上昇が見込めるエリアの物件や、築浅で修繕負担が少なく、高い稼働率が期待できる物件などが有力な選択肢です。
ただし、再投資先の物件選定については、慎重な判断が求められます。
不動産のポートフォリオ組み換えは、多額のコストと時間がかかるため、短期間で何度もやり直せるものではありません。
そのため、市況や金利動向だけでなく、税務面まで踏まえて検討することが大切です。
市場動向や税務に精通した専門家に相談しながら、10年、20年先を見据えた長期視点で進めていきましょう。
ピュアジャパンの資産コンサル|点ではなく「面」で捉える不動産戦略

不動産のポートフォリオ再編で大切なのは、保有資産を「点」ではなく「面」で捉えることです。
なぜなら、不動産は1物件ごとに利回りや築年数を比較するだけでは、税負担やローン返済、将来の修繕費といった重要な要素が見落とされやすいからです。
東京・銀座の地で数多くの事業用建物(ビル)の売買取引に携わってきた株式会社ピュアジャパンでは、オーナー様の保有物件だけでなく、金融資産や負債状況なども含めた保有資産全体のポートフォリオ分析も行い、資産全体の最適化に向けたプランを提供します。
資産全体を「面」で捉えるうえでは、不動産だけを切り取って判断するのではなく、株式・債券・ゴールド・預貯金など、資産の分類ごとの比率を整理し、全体のバランスを可視化することが必要です。
例えば不動産の比率が高すぎる場合、資産が災害リスクや金利上昇リスクなど、特定のリスクに偏りやすくなります。
一方で、不動産の比率が低すぎる場合は、インフレ局面で資産価値が目減りしやすく、収益機会を取り逃がす可能性もあります。
ピュアジャパンでは、このような資産構成の可視化を踏まえたうえで、「今は売却して現金比率を高めるべきか」「買い増しして収益性を高めるべきか」といった判断を、数字に基づいて整理します。
ピュアジャパンが重視するのは、単なる不動産の売買仲介ではなく、10年後を見据えた資産の最適化、家族を含めた資産家・富裕層の方々の幸せづくりです。
ポートフォリオ分析は無償で行い、オーナー様の状況に適した出口戦略を提案させていただきます。
ポートフォリオの再編による相続税対策の効果

不動産の相続では、相続税をいくら減らせるかだけでなく、「遺産をどう分けるか」「納税資金をどう確保するか」も課題となります。
そのため、不動産ポートフォリオの再編が、相続税対策につながるケースがあります。
具体的には、流動性が低い資産を整理して納税資金を確保したり、大きなビルを売却し、その売却益で区分マンション、小口化商品を複数購入して、相続時に分割しやすい形へ組み換える方法が考えられるでしょう。
相続人が複数いる場合、複数の資産に分散しておくことで遺産分割協議が進めやすくなるのもメリットです。
ただし、昨今の税制改正により、相続開始前5年以内に取得した賃貸用不動産については、従来の路線価等ではなく、原則として課税時期における通常の取引価額(時価)で
評価されることになりました。
例外として、課税上の弊害がない限り、「取得価額をもとに地価変動等を考慮して算定した価額の80%で評価すること」も認められていますが、従来ほど大幅な相続税評価額の圧縮効果を得ることは難しいでしょう。
そのため、相続を見据えた不動産ポートフォリオの再編では、相続税評価を下げるだけに偏らず、納税資金の確保、分割のしやすさ、将来の収益性まで含めて設計することが重要です。
相続直前の駆け込み対策は効果が限定されやすいため、できるだけ早い段階から具体的な行動に移すことが望ましいでしょう。
まとめ|10年後の資産価値を決めるのは「今」の決断

複数の不動産を所有している場合は、定期的にポートフォリオを再編し、資産の組み換えを実行することが大切です。
市場環境は金利・インフレ・人口動態・再開発などの影響で変化し続けるため、過去に優良だった物件が、将来的には収益性や売却しやすさを損なう要因になることもあります。
まずは所有物件の棚卸しを行い、実質利回りやキャッシュフロー、流動性などの客観的な指標で格付けし、売却によるキャッシュ化と再投資を検討しましょう。
東京・銀座で20年にわたり事業用建物(ビル)の売買仲介を手がけてきたピュアジャパンでは、オーナー様お一人おひとりの物件保有状況と資産全体の状況に合わせて、不動産ポートフォリオの最適化、そしてご家族含めた幸せづくりをサポートしております。
「所有する物件を格付けしたい」「再投資先を検討するために、最新の推奨物件を見せてほしい」など、将来を見据えた不動産ポートフォリオの再編にご興味がある方は、ぜひ株式会社ピュアジャパンへお気軽にお問い合わせください。